週刊 日本の天然記念物(動物編)

013 秋田犬

日本犬って、そこら中にいるのに、なんで天然記念物? と思う方も多いでしょう。ごもっとも。私もそう思いました。現在、北海道犬、秋田犬、甲斐犬、柴犬、紀州犬、土佐犬、の6種が天然記念物に指定されていて、どれも各地の人々のくらしにとけ込み、独特の個性を持つようになったイヌ達である。今もその純粋血統を守って繁殖・飼育が行われている。洋犬や、最近はやりのミックス犬(雑種とは違うらしい)が横行する中で、確実に日本古来の特徴を有したこれらのイヌ達は、短い毛を持つ、耳がピンと立っている、口先がとがっているという共通の特徴がある。これは、日本古来から続いている日本犬の特徴である。我が家も昔、秋田犬を飼っていた。ゴロウという名前だった。(血統的に五郎丸という名がついていたから)子どもの頃の印象であるが、その太くて長い足で稟と立つ姿は勇ましく、とても誇らしくあり、(まさにこのフィギュアと同じ姿)そんなゴロウが尻尾を振って懐いてくることがほんとにうれしかった。そう。イヌは人と居てこそ、その存在感を発揮する動物なのだと思う。日本犬は観賞や愛玩のために存在したのではなく、その多くは猟犬として昔から人々と関わってきた。山岳地を駆け回る身体能力と、においを嗅ぎ分けるため突き出ただろうと思われる鼻、獲物の逃げる音を聞き分けるためであろうピンと立った耳は、元々日本犬に備わっていたものであり、人が目的用途に合わせて後天的に改良して作られたものではない。元々そういう動物であったところに、それを守るために天然記念物とした理由がある。まぁ、なんといっても、カワイイです、日本犬は。昨今、イヌと人との関わりも多様化して、猟犬や盲導犬、警察犬のようにお互いの役割を守り、信頼関係を作っていく関係もあれば、家族や我が子同様に扱い、人の生活に密着させることで愛情を育む関係もある。寂しいからそばにいて欲しい。という人のエゴでイヌと触れ合うこともある。それでもきちんと答えてくれる犬の姿がそこにある。大切なことは、人とイヌは信頼と尊敬の念をいだきながら共存する関係だ、ということである。愛するがあまりイヌの身体能力の低下を起こさせるような洋服を着せてしまったり、確実に栄養過多である、人と同じ食べ物を与えて肥満させてしまったり、一日中狭い部屋に閉じこめておいて、自分といるときだけ寂しさを紛らわすように可愛がったり。イヌという種を尊重し、信頼するということを忘れた人々の好意(たぶん人は好意と意図してそうしているのだと思う)は、イヌ本来の幸せとあまりに遠くはあるまいか?それを把握してより良い関係を築いていくのは、我々ヒトのほうである。イヌはどんなときでも人に対し純粋に接してくる。イヌはそれを本能として生きて来たからである。人はそのことに決して甘えてはならない。