週刊 日本の天然記念物(動物編)

010 ニホンザリガニ

私がまだ幼い頃、ザリガニと言えば『まっかちん』だった。真っ赤な体色ででっかくて、すごい力を持っているザリガニを捕まえることができると、その日一日仲間内でヒーローとなれた。茶色っぽいザリガニが釣れるとちょっとがっかりしたものだ。その後『まっかちん』は外国から来たアメリカザリガニという種で日本古来から池や川に棲む生物を手当たり次第に補食していることを知り、ちょっと憎らしくなった。最近になって、日本だけに棲むニホンザリガニの存在を知った。澄んだきれいな水を好み、体も小さく繁殖力が他のザリガニより弱いこの種は秋田県と北海道にしか棲息していない。以前は北海道でよく見られたらしいが、昨今の市街地拡大を受け棲息域が減り、絶滅危惧種になっている、このザリガニが棲める環境=自然がそのまま残っている。という一種のバロメーター的な存在なのだ。造形的には、本当に良くできている。体色やツヤまで、確かにザリガニのそれと同じである。アメリカザリガニの派手さにくらべ、このザリガニの渋さに惹かれてしまうのは、やはり人生経験を重ね年をとった証拠なのか。(笑)こういう生物が、あちこちで見られるような環境にできるか、はたまた水族館などでしか見られなくなってしまうか、我々が抱える課題は大きいと言える。しかし、この頃子供たちがザリガニ釣りをしている姿なんぞさっぱり見なくなってしまったなぁ。みんな何してるんだろう?PCゲーム?塾通い?テレビの前?・・・