週刊 日本の天然記念物(動物編)

008 ライチョウ(オス)

ライチョウは雷鳥と書く。日本アルプスや白山などの、高度2,400m以上の地域に棲んでいる。日本の特別天然記念物である。一般的に知られた特徴としては、夏と冬で羽が生え替わり、見た目が大きく変化してしまうところだろう。夏は岩肌にカモフラージュした濃く細かい柄が入り、冬になり周囲が雪景色に変わる頃になると全身真っ白い羽に覆われる。ライチョウは人を怖がらないという。これは高山に棲み、人と深く関わることが少なかったことや、狩猟の対象とならなかったことが主な原因であるらしい。過酷な環境ではあるが、彼らは比較的自由に生きているのだ。造形的には、夏の羽を造形している。フィギュアを見ると、ライチョウのもう一つの特徴を見て取れる。鳥にしては足が太く爪が長く発達していることだ。狩りをする猛禽類にはよく見られる特徴であるが、ライチョウは別の理由でそうでなければならない。それは、高山の岩肌をを歩いて生活し、そして、冬の間の厳しい風雪にもしっかり立って(実際はうずくまるのであろうが)立ち向かわなければならないからだ。2万年前、氷河期でまだ日本が大陸と地続きだったころこの地域にライチョウはやって来た。氷河期の終焉とともに、環境は激変し、適応力の無い生物が死滅していく中でライチョウは氷河期の頃と環境が近い高山へと移り住んで固定化した。天敵のイヌワシやオコジョと戦いながらも、ライチョウは氷河期からの生き残りとして、今もたくましく生きている。『たとえどんなに環境が変化しても、どこかに必ず生き残る道はあるものさ。』彼らの生き様は我々にこう語りかけているようだ。