週刊 日本の天然記念物(動物編)

006 カモシカ

カモシカ。羚羊と書く。カモシカっちゅうくらいだから、鹿という字を使うのかと思いきや、羊である。しかも学術的にはウシ科。。。何とも不思議な動物だ。見た目は鹿に似ている。かつて本州、四国、九州の山地に広く分布していたカモシカも乱獲により一時は『幻の動物』と言われた。保護が進んだ今日、その数は増えており、増えすぎたカモシカがスギの幼木や農作物を食べ荒らすという食害も報告されている。そのため特定鳥獣保護管理計画に基づき、 科学的・計画的な保護管理により、地域個体群を安定的に維持しつつ農林業被害の軽減を図るという対策も各地でとられている。こうしてパソコンの前で数字や情報だけを見ている私と、実際育てた農作物を食われてしまっている農家の方とは決定的にカモシカに対する感性が違うだろう。リアルな現場と日本や地球全体を考える事のギャップは到底計り知れない。やはり、国や自治体の判断や処置の正確さが(学術的・科学的調査や法令の作成等)生物の生き死にを確実に左右する。カモシカに限ったことではないけれど。保護して増えちゃった動物が作物を食べてしまうような被害に対して、補償を行うといった措置は大切だし、そういうことに税金を使ったりするのは許せる。無駄な道路整備を進めたり、調べもしないでダム建設をするよりよっぽど有意義だと思う。造形的には、向こう側の山肌にいるカモシカと目があった時のポーズという設定か。こちらを見つめているカモシカの目は、『こんな所に追いやっておいて、自分らの作物は食うな!かよ。人間ってほんとうにエゴの塊だな。。。かわいそうな動物だぜ』って語っているような、一種哀れみをたたえる。また、その昔、猟のため乱獲され続けた祖先の遺伝子を受けついているかのように、スッとあげた前足はいつでも素早く逃げられる体勢をとっている。彼らが、足を地に着けゆっくりと我々の前を通り過ぎる関係を築くことは、不可能なことなのであろうか。我々が次世代に残した課題はほんとうに大きい。