週刊 日本の天然記念物(動物編)

004 ジュゴン

私的には、もっと遠い国の生物だとイメージしていた。人魚伝説のモデルなんて言われてたものだから。でも、日本近海にも棲息している。沖縄島東部沿岸にちょっとだけ。昔は食用捕獲もされたという。この動物は完全平和主義のようだ。とにかく外敵に対する抵抗手段がないらしい。ひたすら逃げるのみ。そりゃーシャチやサメにもやられるわな。というわけで、数が激減してしまった。しかし、どうやったらこのジュゴンを美しい人魚と間違えるかねー? きっと夜で霧深く、遭難しかけた船の船員が(たぶん精神的にはテンパッテいたと考えられる)遠くの岩礁に上がったジュゴンをみて、『あー人魚だ・・・』と、こんなシチュエーションだったんだろうね。ほら、釣りとかしててかかった獲物がやたら大きく見えるけど、帰って計ったらたいしたことないっていう。(←違うかな?)とにかく、その時の精神状態は尋常ではなかったと推測する。だって、あれは人魚じゃないよ。(笑)ゾウみたいにデカイんだぜー。(実際、ゾウの祖先から進化した生物らしい)ジュゴンのような大きくてゆったりした生物が安心して生きていける生態系を保つっていうことを、人は地球の一員として考えてないといけないな〜とつくづく思う。造形的には、海草をはむジュゴンの姿が再現されている。ツヤといい、ポーズといい、みごとである。さすが松村しのぶ氏。沖縄にはまだ米軍基地が建設されるという。多くの生物を育んでいる、海のド真ん中にである。やっぱり、人間は生まれながらにして罪を背負った生き物なのか? 人が暗い海でジュゴン見、人魚だと思ってしまったように、ジュゴンは人のことを『悪魔のような生物』と感じ、今日も逃げ回る。深い深い暗い海の底まで。